遺言

自筆証書と公正証書の違い

投稿日:2017年9月27日 更新日:

遺言書というと、どのようなものをイメージするでしょうか?

封筒に「遺言書」と書いてあって、中を開けると亡くなったかたの自筆で書かれた書簡が出てくる。そして、サスペンスドラマやミステリー小説だと「この遺言書は亡くなった人と筆跡が違う」という疑惑や、「生前に残されたはずの遺言書が見つからない」というようなトラブルが発生する遺言書。というのが本物の遺言書をみたことがない方が抱く遺言書のイメージではないでしょうか?

このような本人の直筆で記され本人のみが保管していた遺言は「自筆証書遺言」というものです。遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があります。ここでは、この3つの遺言書の違いについてメリット・デメリットをふまえてご説明します。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、先でご紹介した通りご自身の直筆で残す遺言です。一定の要件(自筆証書遺言の要件についてはこちら)を守るだけで、紙とペンさえあれば、いますぐ作成できるのが自筆証書遺言よいところです。また、寿命が長くなっている現代社会においては、家族関係や財産状況の変化とともに、遺言を見直す必要もでてきますが、自筆証書遺言であればいつでも書き換えを行うことができます。

自筆証書遺言のメリット

  • 自分ひとりで作成できる
  • 費用が発生しない
  • 書き換えが容易

しかしながら保管は自らで行うため、遺言を残しても相続人から発見されなかったり、悪意のある相続人により隠されてしまうとせっかく残した遺言書は実現されないこともあります。また、変造されたり、本人の意思ではないと疑惑を持たれ裁判となってしまうと、遺言者の意思にそぐわない遺産分割をむかえる可能性もあります。

また、「遺言を実行する」つまりは遺言を使って相続手続きをするためには、裁判所の検認手続きが必要ですとなり、検認手続きには手間と時間がかかります。

自筆証書遺言のデメリット

  • 本人による紛失や、相続人等による隠ぺい・破棄・変造のおそれがある
  • 要件を満たしていないと無効となる。
  • 記載に不備があると手続きに使えないことがある
  • 裁判所の検認が必要なため、遺言が実行されるまで時間と手間がかかる

自筆証書遺言の要件は決して厳しいものではなく、無効になってしまうというケースはそう多くはないと思います。しかしながら、遺言書の記載方法に注意を払わないと、遺言の内容は理解されたとしても、金融機関や法務局で「この遺言書は相続手続きには使用できない」といわれることがあります。この場合は、遺言の内容にそって相続人全員の協力により手続きを進める必要がでてきます。

保管制度について

令和2年7月より全国の法務局にて、自筆証書遺言保管制度が開始しました。法務局が原本を保管してくれる制度を利用することにより、紛失や隠ぺいのリスクは回避できます。また保管制度を利用した場合は、裁判所の検認手続きが不要となります。

法務局の自筆証書遺言保管制度について

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公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言を残したい人が、その内容を公証役場の公証人に伝え、公証人が作成します。作成日に、公証人は作成した遺言書を本人と証人の前で読み上げ内容を確認したうえで、署名押印するものです。作成した遺言は、公正役場と本人とで保管します。

自筆証書遺言の不安要素である本人による紛失や悪意の相続人による隠匿・破棄・変造を防ぐ効果があるうえ、相続発生後も裁判所の検認が不要であり、公証人が作成するため記載方法に間違えがなく、金融機関や法務局で相続手続きをスムーズに進めることができます。

公正証書遺言のメリット

  • 本人による紛失や、相続人等による隠ぺい・破棄・変造のおそれがない
  • 自筆で作成することができなくとも、作成できる
  • 相続発生後の手続きがスムーズ

しかしながら、数万円〜の公証人作成手数料や、証人の手配、専門家や相続人の打ち合わせ等、手間とお金がかかります。また、遺言内容を書き換える際には再作成しなくてはならないため、遺言内容を見直しすることに腰が重くなりがちです。

公正証書遺言のデメリット

  • 公証人の作成手数料(数万円~)が発生する
  • 証人が必要である。自分で手配できない場合は証人費用も発生する。
  • 遺言の書き換えにお金がかかる。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、作成した遺言が「存在する」ということを公証人と証人に確認してもらうものです。秘密証書遺言を利用する必要があるのは、「公証人や証人にも内容が知られたくない」というかなり特殊な事情である場合で、手間がかかるわりにメリットがうすいため、ほとんど普及していないのが実情です。

秘密証書遺言のメリット

  • 遺言内容を誰にも知られずにすむ
  • 署名押印ができれば、本文は印字でもよい

秘密証書遺言のデメリット

  • 本人による紛失や、相続人による隠匿のおそれがある
  • 検認が必要なため、遺言が実行されるまで時間と手間がかかる
  • 公証人の立会手数料が発生する
  • 証人が必要である。自分で手配できない場合は証人費用も発生する。

3つの遺言書の比較

上記をもとに、3つの遺言書の特長をまとめた比較表です。

種類 作成者 証人・立会 保管 裁判所の検認
自筆証書遺言 遺言者本人 不要 本人
公正証書遺言 公証人 証人2人 公証人と本人 不要
秘密証書遺言 遺言者本人 証人2人と公証人 公証役場で封印、本人が保管

遺言の種類おわかり頂けましたでしょうか?誤解を恐れずにいうと、遺言を残す人の負担が少ないのが自筆証書遺言であり、遺言を残される側の負担が少ないのが公正証書遺言といえるでしょう。自筆証書遺言がよいか、公正証書遺言がよいかはご事情により異なります。もし、どちらがよいかお悩みの場合は下記のフォームよりお気軽にご相談下さい。

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司法書士<東京第5785号 認定第1101063号> 明治大学文学部卒業。相続や登記を専門とする渋谷区笹塚シルク司法書士事務所代表。ていねいできめ細やかな対応がお客様から支持を受けている。整理収納アドバイザー1級、家庭では2児の母。詳しいプロフィールはこちら

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