遺言

遺言書の書き方 自筆証書遺言を無効にしないための要件と注意点とは

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自筆証書遺言の要件とは

自筆証書遺言は、紙とペンがあれば今からでも書くことができる手軽なものです。しかしながら、この条件を満たしていないと遺言が無効になってしまう、要件というものが自筆証書遺言にはあります。

1.遺言を残す人が遺言をすべて自分の手(自筆)でかく

2.遺言書に日付をいれる

3.遺言書に署名押印をする

以上の3点が自筆証書遺言の要件です。

この中で一番ハードルが高いのは1の「すべて自分の手(自筆)で書く」ではないでしょうか。文書作成はパソコンソフトでおこなうことが当たり前となっている現代社会において、すべての文章を自分の手で書くというのはなかなか大変なことです。一方、パソコンやワープロが普及する前、昭和時代の現役世代の方からすると当たり前のことではありますが、高齢になると字を書くにも苦労するということがあります。しかしながら、自筆証書遺言は一言一句の文字を自筆で残す必要があり、これを守らないと無効になってしまいます。

逆にいうと、手書きの清書で遺言書をかけない方は、自筆証書遺言はあきらめ、公正証書遺言で遺言を残すことになります。ふるえの多い字や、介助を伴う字は、相続発生後に「本人の自筆かどうか」の疑念を残すことになり、争いの種となるので避けたほうがよいのです。

2の日付については、遺言書が完成して署名押印をした日を記載すればよいです。なぜこの日付が重要かというと、遺言書は家族関係や財産状況の変化に応じて、書きかえることもあるからです。遺言書が複数ある場合、「最新の日付のもの」が有効な遺言とされます。なお、文書でよく用いられる「○月吉日」は日付が特定できないため無効となります。

3の署名押印は「本人の意思で本人がかいたもの」の証拠として大変重要な行為です。署名は、戸籍や印鑑証明書等の公的証明書の記載通りに姓名を記します。印鑑は法律上、認印でもかまいませんが「確かに本人が押印したもの」と証明するためには実印で押印するほうがよいでしょう。

【参考】民法 第九百六十八条  自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2  自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

紙質・サイズ・書式に決まりはない

遺言書というと、法律にかかわる書類だから何か書式やルールがあるものと思われるかもしれませんが、特に決まりはありません。

紙は縦書きの便せんを使用しても、A4のコピー用紙で横書きとしてもよいのです。すべての文字を自筆するので、自分が書きやすい紙を使用します。手書きに自信がない方は、見本を作成するか、鉛筆で下書きを用意するとよいでしょう。

訂正方法に注意を払わないと訂正部分が無効になることも

自筆証書遺言はすべて手書きでかくため、字を間違えることもあるでしょう。そのときは訂正をすれば大丈夫です。しかし、上記の参考条文、民法968条2項にあるとおりに訂正をしないと、訂正をした部分につき無効とされてしまうので要注意です。なお、訂正方法を誤っても、無効となる部分は訂正部分に関してのみで、遺言そのものが無効となることはありません。

具体的には以下のようになります。(遺言を書いた人は長谷川花子とします。)

  1. 訂正したい部分に線をひく
  2. 署名押印に使用した印鑑を線の上に押す。
  3. 線をひいた上に、訂正語句を記載する(印鑑が大きく、真上に記載できない場合は近いところでかまいません)
  4. 訂正した行の右余白に「本行○字削除○字加入 長谷川花子」というように記載する。もしくは、本文の終わりに「本遺言書○行目 ○○を××と訂正した 長谷花子」というように記載する。
  • 文字を削除したいだけの場合は、削除したい部分に線をひき、印鑑を線の上に押す。
  • 文字を挿入したい場合は{ を利用し、そばに署名押印で使用した印鑑を押す。

封筒に入れなくとも無効ではないが、入れておいたほうがよい理由

遺言書というと、封をされたものというイメージをお持ちの方も多いかと思います。しかし、これを守らければ無効になるという自筆証書の要件では、封をすることまでは求めておりません。

一方、民法1004条2では「封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない」とされていて、これを守らずに開けてしまった場合は、5万円以下の過料(罰金)となります。封をしなくてもよいけれど、封をされたなら、勝手に開けてはいけないということです。

ではなぜ、封をするのでしょう?それはズバリ「変造防止」です。封をされているほうが、されていないより手を加えにくいからです。そして、法律でも「裁判所の検認までは開封するな」と決められており、封筒にも「開封せず家庭裁判所に提出すること」と記載することにより、相続が発生して遺言が発見されたとしても、開けてしまい内容を書き換えられるということが少ないと考えるからです。(実際は、開封してしまう遺族もいるのですが・・・)なお、封をされていない遺言書も、封をあけてしまった遺言書も、裁判所の検認は必要です。

ここまで説明したとおり、自筆証書遺言には守るべきルール、守ったほうがよいルールがあります。これは全て「あとで争いがおきないため」にあるものなのです。生前の家族関係が良好でも、財産が家のみでも、相続と遺言をめぐるトラブルが発生することはあります。自筆証書遺言を残すのであれば、きちんとルールを守ることが、争族を避け、家族を守ることにつながるといえるでしょう。

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