ご相談
夫が急死しました。相続人は妻の私と10歳の息子となりますが、息子はまだ小さくお金などの管理はできません。私がすべて相続することはできますか?
原則は息子さんに法定相続分を相続させる必要がありますが、裁判所の判断により、法定相続分を確保しない遺産分割が可能となることもあります。
回答
夫が亡くなり、妻と子が相続人であるという場合、子には特別代理人をつける必要があります。日常生活において子の法定代理人は親となります遺産分割において親子が利害相反関係(相続人同士)となる場合は、遺産分割のために特別に代理人をつけるのです。具体的には、遺産分割協議書や相続手続き書類などへ署名押印するのは、未成年本人でも法定代理人である親でもなく、特別代理人となります
特別代理人は裁判所に選任されます。特別代理人は、相続に関係しない親族や相談をうけた専門家(弁護士や司法書士)が候補者となることが多いです。裁判所へ特別代理人の申立をする際に、遺産分割協議案を参考資料として添付する必要がありますが、この遺産分割協議案は原則、未成年の法定相続分が確保されているものではないと裁判所から特別代理人選任の審判はおりません。相続人である以上、未成年であっても法定相続分相続する権利があり、特別代理人は未成年の権利を守る必要があるからです。
もし、未成年の相続分が法定相続分を満たさない内容の遺産分割を希望する場合は、その理由を裁判所に申し出て裁判所に理解してもらう必要があります。この判断は裁判所や裁判官により異なり、また未成年の年齢や環境によっても左右されます。妻が夫の事業をつぐために財産の多くを妻が相続したいというようなケースなどは理解を得られやすいでしょうが、まだ子が小さいく管理ができないから妻がすべて相続したいという理由では、裁判所の理解を得るのは難しいのではという印象です。なぜなら、子に法定相続分を相続させたうえで、法定代理人として親が子の財産を管理できるからです。
未成年が相続人となった場合は、通常の相続よりも手続きが複雑になります。遺産分割のために未成年の特別代理人を選任しなくてはいけないという案件について、司法書士は裁判所への申立サポートはもちろん、特別代理人に就任することも可能です。相続手続きセットプランをご依頼の場合は、銀行の対応を含め相続手続きをトータルにサポートさせて頂きます。未成年の相続人がいる相続手続きにご不安があったり、お手間を感じられた場合は、どうぞお気軽に当事務所までご相談下さい。