ご相談
実家に住んでいた母が亡くなりました。遺言書がないか自宅を確認したところ、公正証書の遺言、直筆で書かれた遺言、メモのような遺言の3通が出てきてしまいました。どれが正しいのか、どう扱えばよいのでしょうか?原則は、新しい日付ものが有効となります。遺言の要件を満たしているか確認しましょう。
回答
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができます。(民法1022条)たとえ公正証書で遺言を残したとしても、自筆証書で新しい遺言を作成した場合は、日付が新しいものが有効となります。
そして、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなします。(民法1023条)。日付の古い公正証書遺言には「自宅およびすべての預貯金は長女へ相続させる」とあり、日付の新しい自筆証書遺言が「自宅は長男へ相続させる」とだけあった場合は、自宅の相続に関してのみ前の遺言を撤回したことになり、「自宅は長男、預貯金は長女が相続」することになります。
ただし遺言は、「遺言の方式に従って」とある通り、遺言の以下の要件を満たしている必要があります。
1.遺言を残す人が遺言をすべて自分の手(自筆)でかく ※財産目録は署名押印があれば印字でも可
2.遺言書に日付をいれる
3.遺言書に署名押印をする
署名押印のないメモのようなものや、ワープロファイルでパソコン上に残されたものは遺言とはいえないため、日付が新しくとも前の遺言を撤回することはできません。
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