相続

祖父母が直系尊属で相続人となるケース

投稿日:2021年3月30日 更新日:

祖父・祖父母が相続人となる場合とは

相続においては、「祖父・祖母が相続人」になるということがあります。被相続人(亡くなった方)に子がおらず、両親はすでに他界しているが、祖父もしくは祖母が存命であるという場合です。この場合、兄弟姉妹がいても相続人とはなりません。配偶者がいる場合は、配偶者と祖父・祖母が相続人となります。

子などの直系卑属がいない場合は、直系尊属が相続人となります。直系尊属は父母・祖父母・曽祖父母・高祖父母と上にさかのぼる親族のことです。子はなく両親・祖父母ともに他界しているが、唯一ひいおばあちゃんが存命であるという場合は、ひいおばあちゃんが相続人となります。

兄の相続放棄をしようと戸籍を集めたら相続人である祖父の存在が判明

借金や滞納した税金などを相続したくないので相続放棄をしたいというご依頼においては、被相続人(亡くなった方)が20代〜40代とお若い年齢であることも少なくありません。

以前、両親は他界しており唯一の肉親である独身の兄が亡くなってしまったが、債務の不安があるた妹の自分は相続放棄をしたいというご依頼がありました。ご依頼をうけ、相続放棄のお手続きのために戸籍収集をしたところ、そこで初めて父方の祖父がご存命であることが判明しました。このご兄弟は小さなころにご両親が離婚されており、お父様やその親族とは疎遠になっていたため、父方のお祖父さまの消息を今まで知らなかったのです。

お祖父さまがご存命でいらっしゃるということは、妹さんである依頼者は相続人ではありませんでした。このケースにおいては、相続人はお祖父さま一人なのです。そして戸籍の附票に記載されていた住所地が介護施設であったため、インターネットで電話番号を調べ、妹さんはまずは施設に連絡をとることができました。

認知症の高齢者と相続放棄という問題

妹さんが施設に連絡をして事情を説明の上お祖父さまに会いに行ったところ、お祖父様は認知症であり、相続放棄をご自身で手続きをしたり司法書士や弁護士に依頼するということは難しい状態にあるということがわかりました。

相続人が認知症等で判断能力に衰えがある場合、現行の日本の制度においては「成年後見制度」を利用しないと相続放棄の手続きをすることができません。成年後見人の申立をして相続放棄をするか、相続放棄をしないか・・・

結果として、この事例では「相続放棄はしない」という選択をとりました。

もともと今回相続放棄を決めた理由というのが、判明している債務は少額であったが「念のため」相続放棄をしておこうという事情であったことと、そして、戸籍の附票を確認すれば介護施設に入所しているとわかる高齢の方へ、一般の会社であれば債務の取り立てをすることもないであろうという妹さんと施設の方の判断です。

そもそもお祖父様は認知症のため「孫の相続を認識する」こともできません。相続手続きも相続放棄もしないままとなるため、もし被相続人(兄)に財産や債務があった場合は、将来的には、妹さんを含むお祖父さまの相続人が承継することになります。

もちろん本来であれば相続放棄をするのがベストだったでしょう。しかしながら、「念のため」の相続放棄をするために、終身にわたる成年後見制度を利用するというのは現実的ではないと判断されたのです。

配偶者と高齢の祖父・祖母が相続人となるケースもありうる

今後来る人生100年時代の高齢化社会ににおいては、「子のない配偶者と高齢の祖父もしくは祖母」が相続人となるケースも出てくるでしょう。この場合、配偶者が生計のために亡夫の財産を相続したくとも、高齢の祖父・祖母との遺産分割協議が必要となってしまうのです。

高齢でもお話ができる状態にあればよいのですが、認知症になっていた場合は、成年後見制度の利用が必要となり周囲に理解いただくのも手続きをするのもひと苦労です。成年後見制度ではなく、相続手続きや相続放棄をするために一時的な代理人を立てれば手続きできる仕組みがあればよいのですが、現状そのような制度は存在しません。

ご存知のように、現在国は積極的に「空き家対策問題」に取り組んでおり、相続登記の義務化や相続手続きを簡素化する制度の導入を試みておりておりますが、この「高齢の認知症の方の相続人問題」にも、もっと焦点が当たること願う次第です。

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司法書士<東京第5785号 認定第1101063号> 明治大学文学部卒業。相続や登記を専門とする渋谷区笹塚シルク司法書士事務所代表。ていねいできめ細やかな対応がお客様から支持を受けている。整理収納アドバイザー1級、家庭では2児の母。詳しいプロフィールはこちら

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