相続放棄

相続放棄には2種類ある

投稿日:2017年10月4日 更新日:

相続を放棄するには2種類の方法があります

2種類の相続放棄をあらわす手

「相続を放棄をするにはどうすればよいのですか?」というご質問をうけることがあります。実は相続を放棄する、つまり「相続人であるけれど相続しない」ための方法は、2通りの方法があるのです。

1つは裁判所を通じた相続放棄です。家庭裁判所へ、相続発生を知ったときから3ヶ月以内に、相続放棄申述をすることです。具体的には「相続放棄申述書」という書類を他の添付書類とあわせて提出します。その後、裁判所によって相続放棄申述が認められると「相続放棄受理通知書」という書類が届きます。この「相続放棄受理通知書」のコピーや、裁判所にあらためて発行してもらう「相続放棄受理証明書」という証明書を関係先に提出することにより、「私は相続放棄をしたので、相続はしません」ということを知ってもらうのです

もう1つは、遺産分割協議による相続放棄です。相続人全員で遺産分割協議をおこない、自分は相続することなく他の相続人が亡くなった人の財産を相続するという内容の遺産分割協議に署名押印することです。

この遺産分割協議書にはわざわざ「Aは被相続人甲の財産の相続を放棄する」ということを書く必要はありません。A以外の「Bは不動産を相続する」「Cは預貯金を相続する」のように、他の相続人が相続することを書いてあれば足ります。

なお、法律の世界では「相続放棄」といえば、裁判所を通じての相続放棄のことを意味します。

借金を理由とする相続放棄の場合は、裁判所を通じた相続放棄を

裁判所を通じた相続放棄と、遺産分割協議書上での相続放棄。どちらを選ぶのがよいかは、事情により異なります。

「プラスの財産はなく借金が多いから相続放棄をしたい」という理由の相続放棄であれば、裁判所を通じた相続放棄を選ぶべきです。

なぜならば、借金がある場合、遺産分割協議書に「相続人AはX銀行の借金を相続しない」と記載しても意味がないのです。これはあくまで相続人間での取り決めであって、これとは別途借入先と相続人の間で債務者を変更する契約をしない限りは、債務者(借金をした人)の相続人であるという立場から逃れることはできません。

相続を辞退する相続放棄の場合は、遺産分割協議による相続放棄を

借金を理由とした相続ではなく、「他の相続人に相続してもらいたい」というような事情の時は遺産分割協議による相続放棄をえらぶことをおすすめします。

なぜならば、相続放棄する人にとって、遺産分割協議による相続放棄のほうが手間もお金もかからないからです。用意された遺産分割協議書に署名押印をして印鑑証明書を用意すればよい遺産分割協議書による相続放棄と比べ、裁判所を通じた相続放棄は、放棄をする人自らが申立書や戸籍など用意したり、裁判所に問い合わせたり出向いたりと、手間がかかります。また、裁判所の相続放棄申述は、申立から相続放棄の受理されるまで1ヶ月前後と時間もかかります。司法書士等に依頼する場合は、その報酬負担も発生します。このように裁判所を通じた相続放棄は、相続を辞退する人に負担がかかるものなのです。

面倒なのでかかわりたくないという相続放棄の場合、は慎重に検討を

「縁を切っている親族だから」「会ったことがない親族だから」といったように、「面倒だからかかわりたくない」という場合は、ついつい短絡的に裁判所を通じた相続放棄を選んでしまう方もいらっしゃいますが、これは慎重な検討が必要です。

なぜなら、相続放棄は一度申述が認められたら、決して取り消すことができないからです。「そんなに財産があると知っていたら相続放棄をしなかった」といいっても取り消すことはできません。

裁判所を通じた相続放棄を取り消せるのは詐欺や強迫があった場合のみ

時折「相続を放棄したことを取り消したい」というご相談をいただくことがあります。

しかしながら、裁判所を通じた相続放棄においては「多額の借金があるから相続放棄をしたほうがよいと騙された」といったような詐欺や「相続放棄をしないと殺すと脅された」という強迫をされた場合ではないと、取り消しの申述をすることができません。

相続放棄は、法律で「撤回できないもの」されているため、裁判所は相続放棄の申述を取り消すことには非常に慎重です。そもそも相続人であれば、相続財産を調査することができるので、なぜ相続放棄する前にしっかり確認や調査しなかったのかということになります。そのために法律では熟慮期間3ヶ月という相続調査をする設けられており、理由があれば期間を伸長することも可能です。だまされたとしても、取り消しの申述を認めてもらうためには相当の証拠等を提出する必要があるのです、

一方、遺産分割協議上の相続放棄においては、相続人全員の合意さえあれば、法律上はやり直しも可能です。

このように「相続を放棄する」といっても、2種類の方法があり、事情や理由などにより選択する必要があります。自分はどちらのほうがよいか迷っているというような場合は、ぜひ相続手続きの専門家である司法書士にご相談下さい。

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シルク司法書士事務所 代表司法書士 <東京司法書士会第5785号 簡裁訴訟代理等関係業務認定会員認定第1101063号> 明治大学卒業後、一般企業を経て2010年司法書士合格。不動産登記専門の事務所・相続専門の事務所で経験を積み、2017年渋谷区笹塚にてシルク司法書士事務所を開業。詳しい自己紹介はこちら

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