相続

相続人で話し合いをする前に知っておくべき4つの遺産分割方法

投稿日:2017年10月17日 更新日:

遺産分割には「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有分割」と4つの方法があります。この4つの方法を事例をもとに解説していきます。

遺産分割と家

事例

【被相続人(亡くなった方)】父

【相続人】子3人 長男・長女・次男 法定相続分はそれぞれ3分の1ずつ

【相続財産】自宅の土地・建物(固定資産評価額1200万)、X銀行預金600万、A社株式300株(評価額300万)

相続事例

財産をそのままの状態で分割する現物分割

現物分割とは財産をそのまま分割することです。事例のケースで現物分割する場合、長男は自宅、長女が預金、次男が株式というようにそのままの状態で各自が相続します。

遺産分割方法 現物分割

また、預金を3分の1の100万円ずつ、株式を100株ずつ名義変更と、物理的にわけられるものを法定相続分で分割することも現物分割です。

現物分割の問題点

長男は自宅、長女が預金、次男が株式という現物分割において、それぞれの財産評価額は均等ではないため、法定相続分からすると不公平が生じることになります。この不公平を解消するためには、次に紹介する代償分割もあわせて検討する必要があります。

また法定相続分ずつの現物分割の場合、不動産においては、広く形の良い土地であれば土地を分ける(分筆する)ことにより3分の1ずつとすることもできますが、一戸建てやマンションの場合は物理的にわけることができないため、現物分割をすることができません。

法定相続分をこえた相続分をもらう代わりに現金を払う代償分割

代償分割とは、自分の法定相続分をこえた相続分を相続した場合、超えた分を他の相続人へ現金で支払う方法です。

事例のケースでは、相続財産の評価額は2100万円、それぞれの法定相続分の評価額は3分の1の700万円です。しかし長男は自宅、長女が預金、次男が株式という相続にした場合、長男は+500万、長女が-100万、次男が-400万という不公平が生じてしまいます。この不公平を解消するため、長男が自分の財産から長女に現金で100万円、次男に現金400万円を支払うことにより、差額は解消されます。このような方法を現金で代償する、代償分割といいます。

遺産分割方法 代償分割

代償分割の問題点

財産を多くもらう相続人が代償金を準備できるが、大きなポイントとなります。

なお、土地の評価は「時価」「公示価格」「路線価」「固定資産評価額」と、4つの価格が存在します。遺産分割協議においては法律に定めはなく、相続人全員の同意があればどれを適用してもかまいません。土地の評価が低いと、代償金を支払う人が得となり、代償金をもらう人が損をするため、どの価格を適用するか相続人間で合意がとれないこともあります。この問題が解決しない場合は、下記の換価分割も検討することになります。

売って現金にかえてから分割する換価分割

換価分割とは相続財産を売却等して現金化してからわけることです。事例の場合、預金以外の自宅の土地・建物と株式を売却して、手数料等をひいて手元に残ったお金と預金を3分の1ずつわけることになります。

遺産分割方法 換価分割

換価分割の問題点

不動産や株式等は、相続人全員の協力がないと売却はできません。また、不動産においては「家を残したい」「自分が住みたい」という希望のある相続人がいる場合は、売却の話が進まないことがあります。また不動産や株式等、市場性があり値上がり・値下がりがあるものに関しては売却のタイミング次第で相続遺産が増減することになります。

相続人で共有する共有分割

不動産の遺産分割においていずれも話し合いがつかない場合は共有分割といって、事例でいうと自宅の土地・建物を3人で3分の1ずつの共有とする名義変更を行うことになります。また、賃貸に出している不動産や処分する予定がない不動産などでは、あえてこの共有分割を選択するケースもあります。

共有分割の問題点

不動産を賃貸に出したい場合や売却したい場合は、共有者全員の協力が必要となるため意見がまとまらないと手続きを進めることができません。また共有状態のまま次の相続が発生してしまうと、さらに共有者が増えることになり管理や処分が困難となります。

遺産分割協議では全員の合意があれば、どの方法どの割合でもよい

法律で法定相続分は決められていますが、相続人全員の合意があれば法定相続分と異なる相続分でも問題はありません。遺産分割の方法に納得いかないときは、妥協して安易に手続き書類に印を押すようなことはせず、場合によっては家庭裁判所の遺産分割調停の利用を検討しましょう。

なお、家庭裁判所で調停(話し合い)が整わず、審判(裁判所が決定する)に進む場合は、法定相続分の割合で、方法は現物分割→代償分割→換価分割→共有分割の順で検討されることになります。

遺産分割の4つの方法ご理解いただけましたでしょうか?相続財産に不動産がある場合、遺産分割協議においてどの分割方法にするかは大変重要な点となります。遺産分割についてわからないことやご相談がありましたら下記のお問合せフォームからお気軽にお問合せ下さい。

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司法書士<東京第5785号 認定第1101063号> 明治大学文学部卒業。相続や登記を専門とする渋谷区笹塚シルク司法書士事務所代表。ていねいできめ細やかな対応がお客様から支持を受けている。整理収納アドバイザー1級、家庭では2児の母。詳しいプロフィールはこちら

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