相続

相続登記の義務化で何が変わる?

投稿日:2021年5月11日 更新日:

相続登記の義務化はいつから?

最近「相続登記の義務化」について、当事務所でもお問合せが増えています。

2021年4月21日に相続登記の義務化を含む「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立して、ニュースなどでも話題になっているからです。

そして、2021年12月に相続登記の義務化が令和6年4月1日より施行されると発表されました。2022年現在としては、相続登記を義務化する法律がつくられ発表されたけれど、実施はされていないという状況です。

 なぜ相続登記が義務化されるのか?

相続登記の義務化は、日本の国内に増え続ける所有者不明の土地を、もうこれ以上増やさないためにと導入が決定されました。平成29年の国交省の調査によると、九州全体の面積も超える、日本国内の22%もの土地が所有者不明であり、所有者不明である土地の66%もが相続登記がされていないことです。

なぜ相続登記がされていないかというと、まず第一に義務ではないからです。また地方を中心に「土地を持ちたい」「土地を利用したい」という意識が薄まり、相続登記をはじめとする名義変更が進んでいないという背景もあります。さらに、そのまま相続登記が放置されてしまうことにより、相続人に相続人が発生して相続関係者がねずみ算式にふえて手がつけられないというケースも増えています。

管理や利用されていない所有者不明の土地は、国の公共事業や復興・復旧事業の大きな妨げとなります。土地を買い取ったり利用したくとも、交渉相手がわからないからです。相続人を調査して、ひとりひとりに確認をとっていくには莫大な時間とお金がかかります。

また、土地が放置されることにより近隣の住民等に迷惑や危険が及ぶこともあります。高齢化が進むにつれ、問題がさらに大きくなる前に打つ手を、ということで所有者不明問題を予防・解消していくべく、相続登記の義務化をはじめとする新制度や改正がおこなわれることになりました。

相続登記が義務化されると何がかわる?

「相続が発生したら3年以内に相続登記(名義変更)をしないと10万円以下の過料(罰金)」というのが今回新たに設けられたルールです。

厳密には「相続が発生したら」ではなく、「所有者に相続が発生したことを知った」かつ「その不動産の相続権があることを知った」ときから3年以内です。つまり、音信不通であったため相続発生を知らなかった場合や、亡くなった人がその不動産を所有していることを知らなかった場合は、知ったときから3年以内に相続登記をすればよいということなります。

相続登記の義務化に伴い、遺産分割協議についても実質3年内という期限ができることになります。多くの相続においては、不動産以外の他の遺産についても話し合いをしないと、誰が不動産を相続するか決められず相続登記ができないからです。今までは10ヶ月という期限ある相続税申告がある相続のみが、期限を意識して遺産分割協議を進めていました。

また、もめてしまって3年以内に遺産分割協議が整わないなど、何かの事情により3年以内に相続登記ができないのであれば、取り急ぎ「相続人であること」を申告すればよいという「相続人申告登記」という新しい制度もつくられます。

さらに相続登記を促進するために、法務局が住基ネットなどから不動産の所有者の死亡等の情報を取得して、登記に反映させるという仕組みもつくるようです。この仕組みが実現されれば、相続登記がされなくとも登記簿を見れば、不動産所有者の相続の発生、つまり相続登記の必要がわかるということです。ただし、法務局の登記システムと住基ネットの連携というのは新しい試みですので、こちらは実現に少し時間がかかるかもしれません。

相続登記義務化の前の相続であれば関係ない?

今回作られた法律においては、相続登記の義務化が施行される前におきた相続も対象とするとしています。つまり、過去に起きた相続で相続登記がすんでいない案件の全てが義務化の対象となります。

ただし、実施される前におきた相続については「相続を知った日」もしくは法律が施行される「令和6年4月1日」いずれか遅い日を、3年の起点とすればよいので、現在、相続がおきたことを知っているのに相続登記していない案件については、「令和6年4月1日」から3年以内に相続登記をすればよいとういことになります。

まだ時間の余裕があるといっても、相続登記はできる限り早くおこなうことをおすすめします。時間が経過することにより、相続人に相続がおきて複雑化したり、高齢の方が相続人である場合は、認知症となってしまうと手続きを進めることが難しくなってしまうからです。

相続登記の義務化の他にもかわる不動産の登記制度

今回、相続登記の義務化の他にも、所有者不明土地問題の予防や解決のために新しい制度が導入されます。その中でも、特に大きな改正ポイントが以下の2つとなります。

1.住所・氏名変更登記の義務化

2.相続した不動産の所有権が放棄できる制度の新設(相続土地国庫帰属制度)

1は不動産の所有者に住所の変更等があった場合、変更日から2年以内に変更の登記を申請することが義務付けられ、守らなかった場合は5万円以下の過料(罰金)とされます。今まで、個人の住所変更や氏名変更、法人の本店移転や商号変更の不動産登記は、抵当権抹消や名義変更の登記のついでに申請している方がほとんどでした。この実情からするとずいぶん厳しい制度を導入するという印象もありますが、国も登記を促進・サポートするべく、住基ネットの住所移転のデータを取得・連動させて、スムーズに登記申請を進める仕組みをつくっていくとしています。

2は、相続したけれど不要な土地を国に引き渡せる制度であり、空き家や山林などいわゆる負動産の相続に悩んでいる方には朗報です。令和5年4月1日より施行されます。しかしながら、国も、放棄制度の導入による管理コストやモラルハザードを大変懸念しているので、建物のない、権利関係や争いがない、土壌汚染や埋設物などの危険がない、というような管理や処分にあたり「問題のない土地」のみを受け入れるとのことです。土地であればなんでもかんでも受け入れてもらえるというものではありません。さらに申請は有料、10年分相当の管理費を負担しないと受け付けてもらえないという、お金がかかる制度であり決して利用のハードルが低いものではなさそうです。

相続登記をしていない不動産があり、相続登記の義務化が気になっているという方。「相続登記を進めたほうがよいのか」「まずは何から始めればよいのか」「どれくらいお金がかかるのか」など、疑問や不安がございましたら、どうぞ当事務所までお気軽にご相談ください。

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司法書士<東京第5785号 認定第1101063号> 明治大学文学部卒業。相続や登記を専門とする渋谷区笹塚シルク司法書士事務所代表。ていねいできめ細やかな対応がお客様から支持を受けている。整理収納アドバイザー1級、家庭では2児の母。詳しいプロフィールはこちら

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