勤務中に旦那が突然死しました、義母と私が相続人です。
私たち夫婦に子はおらず、夫の父は他界しており、夫の母と私が相続人になるようです。お金のことは夫にまかせており、夫の給料から生活費をもらっていたため、相続財産が把握できていません。また、まだ住宅ローンが残っている夫名義で購入した家がどうなるか不安です。私はパートで働いていますが、扶養控除内に勤務を抑えていたため、自分の収入では住宅ローンを払うことはできません。わたしは何から始めればよいのでしょうか。
金融機関へ団体信用生命保険の適用になるか確認を。
まず一番のご不安でいらっしゃるお住まいのことですが、住宅ローンを支払っている方がお亡くなりになられたら保険金で残りの住宅ローンが支払われる「団体信用生命保険」の適用となるか、借入元の金融機関に確認してください。融資の条件として「団体信用生命保険」加入を求める金融機関がほとんどです。適用の場合は、金融機関のいう通りに書類を整えると、保険会社から直接金融機関に保険金が支払われ、ローンの返済は不要となります。
遺産調査は金融機関へ残高証明書の請求を
次に相続財産ですが、まずはお財布のカードや通帳、郵送物をたよりに口座のありそうな銀行や証券会社を確認します。通帳や残高報告書などがみあたらず、残高がわからない場合は「亡くなった日時点で、資産をどれだけ預かっているか」を証明する残高証明書を請求します。なお、旦那さまが亡くなったことを金融機関に伝えると、口座は凍結されますので、連絡のタイミングはご注意下さい。
義母との遺産分割協議について
財産の一覧表(財産目録)を作成できたら、これをもとに相続人であるお義母さまと遺産分割の話し合いをします。お義母さまから「すべて相談者さまに相続してほしい」というご提示を頂ければよいのですが、そうでない場合は、どのように分割するか決めなければなりません。金融資産は現金化して、法定相続分でわけることが可能ですが問題は家です。
家は、物理的にわけることができないため「共有にする」「売却して現金化する」「相続分を買い取る」のいずれかとなります。引き続き、お住まいになりたい希望がある場合は、どの方法にするか、法定相続分を買い取る場合はいくらとするか話し合いをする必要があるでしょう。
遺産をどう分割するか決まったら、その内容をもとに必要に応じて遺産分割協議書を作成して、相続登記や、金融機関の相続手続きを進めます。
10ヶ月の期限のある相続税申告にご注意ください。
突然配偶者を失くした場合、悲しみもより深く、煩雑な相続手続きを進める気力など、なかなかわかないことかと思います。
相続手続きに期限はありませんが、相続税申告には10ヶ月期限があるため、早めに相続財産の全容は把握したほうがよいでしょう。都市部で持ち家があり、相続人が少ない場合は思いもよらず相続税申告の対象となることがあるからです。ご自身で進めるのが難しいと感じられる場合は、どうぞ身近な相続の専門家である司法書士にご相談下さい。
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