相続

公正証書遺言のある相続登記や相続手続き

投稿日:2021年6月9日 更新日:

1.公正証書遺言を発見したら

公正証書遺言とは?

「遺言公正証書」と表紙に印字されている遺言書は公正証書遺言というものです。

公正証書は、法務局管轄の公務員である公証人が作成する、一定の事項について証明をする文書です。当事者の意思に基づいて作成されたものであるという強い推定が働くため、証拠力のある文書となります。つまり公正証書は、公証人が作成した証拠力の高い遺言書です。また、自筆証書遺言と異なり、裁判所での検認が不要であるため相続手続きをスムーズに行うことができます。

公正証書で遺言を作成するには、公証役場へ数万円からの手数料を支払います。司法書士や弁護士に作成サポートを依頼した場合は、別途報酬もかかります。つまり、公正証書で遺言を作成された人は、お金をかけてでも証拠力がありスムーズに実現される遺言を残しておきたかったということです。

公正証書遺言 原本・正本・謄本の違い

公正証書遺言には、原本・正本・謄本があります。遺言者・証人・公証人が署名押印をしている原本は公証役場で保管されており、遺言者には原本の写しで正本と謄本が公証役場から渡されます。正本は遺言執行者が、謄本は遺言者が保管していることが多いです。

正本には原本の特別な写しです。「正本」と赤いスタンプが表紙や一枚目に押印されており、文中の最後に正本である旨の記載がされています。謄本は再発行が可能な写しです。裁判の判決書等においては「正本」ではないと差押えなどの手続きができませんが、公正証書遺言においては、正本または謄本のどちらかがあれば、相続登記や銀行の相続手続きをすすめることができます。

この遺言書はホンモノ?気になる装丁や証人について

ほとんどの方にとって、公正証書遺言は初めてみるもの。しかも生前に遺言書の存在を知らされていなかった場合「本当にこの遺言書がホンモノなのか」気になってしまうかもしれません。

公正証遺言の封筒や表紙、フォントは公証役場により異なるものです。このため、インターネット等で検索したものや過去に手に取ったことがある公正証書と装丁が異なるからといって、直ちに偽物であるということはありません。

公正証書は原本にのみ遺言者・証人・公証人の署名押印がされており、正本および謄本には「氏名 ㊞」と印字で省略されています。署名がないからといって効力がないというわけではありません。

公正証書遺言の作成にあたっては、証人2人の立ち合いが必要です。遺言作成を司法書士や弁護士に依頼した場合は、担当した司法書士や弁護士およびその事務所関係者などが証人となりますが、妥当な証人がいない場合は、公証役場が手配する証人に依頼するため、遺言者とまったく面識のない人物が証人となっていることもあります。

もしどうしてもこの公正証書遺言がホンモノか気になるということであれば、表紙に記載されている公証役場に確認してもらうのも一つの手です。

2.遺言執行者について

遺言執行者とは?

遺言執行者は遺言者が遺言で指定する「遺言を実行する人」のことであり「相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務」を有しています。未成年と破産者をのぞき誰でもなることができます。公正証書遺言においては、もれなくこの遺言執行者が指定されています。

遺言執行者は、遺言により財産をもらう相続人が指定されているか、依頼をうけた弁護士や司法書士が指定されていることが多いです。死亡届が出されると遺言執行者に連絡がいく仕組みなどはないため、弁護士や司法書士などの第三者が指定されている場合は、発見した相続人等が指定されている遺言執行者に相続が発生した旨の連絡をしましょう。遺言者の連絡先がわからないという場合は、弁護士であれば日本弁護士連合会の弁護士検索、司法書士であれば日本司法書士連合会の司法書士検索 で現在の住所や電話番号を調べることができます。

公正証書遺言は裁判所での検認をする必要がありませんので、遺言執行者により直ちに手続きを進めることができます。

遺言執行者がやるべきこと

遺言書に遺言執行者として指定されていて就任した場合、主に次の事を行う必要があります。

  • 相続人全員へ遺言執行者就任した旨と遺言内容の通知 ★
  • 相続人調査
  • 相続財産調査
  • 相続人全員へ財産目録の通知 ★
  • 遺言内容の執行(相続登記や銀行の手続き等)
  • 相続人全員へ任務終了の報告 ★

就任を承諾した場合は、裁判所や役所などに登録や申出などをする必要はありませんが、まずは就任したことを相続人全員に遺言内容とともに通知します。

平成30年の民法改正により、遺言執行者の任務として「財産目録の通知義務」のみならず「遺言内容の通知義務」が加わりました。これは、令和元年7月以降に就任した遺言執行者に適用されます。また遺言者には、相続人から求められた場合は、執行の状況報告をすることと、任務が完了したら遅滞なくその経過及び結果を報告しなくてはいけません。このため、遺言執行者は★のとおり相続人全員に対し最低でも3回は通知および報告を行わなくていけません。

遺言執行者が通知義務違反をした場合は?

遺言執行者が相続人全員に遺言内容や財産目録を通知しなくとも刑事罰をうけることはありませんが、後で知った相続人から損害賠償請求をうける可能性があります。

実例として、民法改正前にもあった「財産目録の通知義務」を怠った遺言執行者に対して、財産目録を通知してくれなかったことにより生じた調査費用・弁護士費用・慰謝料等の損害賠償を認めた判決があります。(東京地方裁判所平成19年12月3日判決)

遺留分のことにふれられたくないから知らせたくない相続人がいるという場合でも、通知をしないことはリスクとなりますので、法に従いきちんときちんと通知義務を果たしましょう。

遺言執行者を辞退したい場合は?

自分が遺言執行者に指定されているものの、荷が重い、連絡を取りたくない相続人がいるという場合はどうすればよいのでしょうか?

遺言執行者は就任を拒絶することもできます。ただしこの場合は、新しい遺言執行者を裁判所へ選任してもらう必要があり、手間がかかる手続きとなります。

もう一つの選択肢としては、司法書士や弁護士に遺言執行者の仕事を依頼することです。

令和元年7月の民法改正により、令和元年7月1日以降に作成された遺言書であれば、遺言執行者の職務を司法書士や弁護士などの第三者に依頼できるようになりました。

令和元年7月1日以前に作成された遺言書は「やむを得ない事情」がない限り第三者に依頼することができません。ただし「やむをえない事情」がなくとも、戸籍の収集、通知文書や目録作成アドバイス、相続登記の代理や銀行手続きの代行など、専門家が遺言執行のサポートを承ることは可能です。

遺言執行者が行方不明や死亡の場合は?

遺言執行者に指名された第三者の連絡先が不明である場合、病気や高齢により就任が難しい場合、すでに死亡していた場合など就任ができない事情がある場合は、相続人から裁判所に遺言執行者選任の申立てをすることができます。

ただし、遺言内容や相続人の状況によっては新たな遺言執行者がいなくとも相続登記や相続手続きができるケースもあります。

指定されている遺言執行者が就任できない状態にある場合は、まずは手続き先の法務局や金融機関、または相続手続きの専門家である司法書士にご相談頂き、「遺言執行者がいないと相続手続きができないか」どうかをご確認頂くのがよいかと思います。

3.公正証書遺言のある相続登記の申請

公正証書遺言に不動産の相続について記載されている場合は、法務局で相続登記をして名義変更をします。登記申請書は不動産の所在を管轄する法務局に出します。遺言がない場合と異なり、他の相続人の押印や印鑑証明書は不要なので、遺言書がない場合と比べ手短に手続きを進めることが出来ます。

公正証書遺言のある相続登記の必要書類

  • 公正証書遺言の正本もしくは謄本
  • 遺言者の死亡記載のある戸籍謄本
  • 遺言者の住民票除票
  • 遺言により不動産を取得する相続人の戸籍謄本
  • 遺言により不動産を取得する相続人の住民票
  • 不動産の固定資産評価証明書(相続登記申請日に属する年度のもの)

※書類は原本還付の手続きをすれば原本が戻ってきます

相続登記は誰が申請する?

相続人に相続させる遺言がある場合、不動産を取得する相続人のみから相続登記を申請することができます。

なお、「Aに下記の不動産を相続させる」というような財産を特定して相続させる内容の遺言(特定財産承継遺言)であり、相続人が相続登記に協力してくれないなどの事情がある場合は、遺言執行者から相続登記申請をすることができます(令和元年7月1日以降に作成された遺言に限る)

4.公正証書遺言のある銀行での相続手続き

銀行や金融機関での相続手続きは、遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者が書類等を提出して進めることが前提として、遺言執行者のみの押印で手続きができるところが多いです。

複数の金融機関に遺産となる預金や有価証券があり、いったん遺言執行者が全て受け取ってから清算したい場合は、遺言執行者名義の専用口座に払戻を受けることも可能です。

公正証書遺言のある銀行や金融機関の相続手続きの必要書類

  • 公正証書遺言の正本もしくは謄本
  • 遺言者の死亡記載のある戸籍謄本
  • 遺言により預貯金等を取得する相続人の戸籍謄本
  • 遺言執行者の印鑑証明書
  • 遺言により預貯金等を取得する相続人の印鑑証明書(必要に応じて)

※上記は標準的な例です。遺言内容や金融機関により必要書類が異なることありますので、詳しくは手続き先の金融機関にお問合せ下さい。

公正証書遺言のある相続や遺言執行は司法書士にご相談下さい

公正証書遺言のある相続登記や相続手続きは、裁判所での検認手続きが必要な自筆証書遺言のある場合や、相続人での遺産分割協議が必要である場合と比べ、必要とされる書類が少なくスムーズです。

一方で、平成30年の民法改正により権限や義務が大きく変わった遺言執行者の任務は、ネット上にはまだまだ古い情報を残っており、さらに説明には法律用語も多用されていることから、一般の方にとっては正確な理解が難しく、荷が重いものと感じられる方も多いのではないでしょうか。

当事務所では遺言執行者のサポートや就任について、ご状況やご事情にあわせ柔軟に対応しております。リーズナブルな料金でご利用頂ける相続手続きセットプランで遺言執行者のサポートをすることも可能です。公正証書遺言ある相続登記や相続手続き、遺言執行でご不安がある方はどうぞ当事務所にお気軽にお問合せ下さい。

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シルク司法書士事務所 代表司法書士 <東京司法書士会第5785号 簡裁訴訟代理等関係業務認定会員認定第1101063号> 明治大学卒業後、一般企業を経て2010年司法書士合格。不動産登記専門の事務所・相続専門の事務所で経験を積み、渋谷区笹塚にて個人からの相続・登記業務のご依頼を主とするシルク司法書士事務所を開業。丁寧できめ細やかな対応がお客様の支持を受けている 詳しい自己紹介はこちら

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