相続 相続手続き

社長である父や夫が亡くなったとき家族が必ず理解しておくべき相続の要点

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社長である父や配偶者が突然亡くなった!という場合、残された家族はいったいどうすればよいのでしょうか。会社の登記は司法書士の専門分野であり、経営者が亡くなった際は、会社の役員変更登記とご家族の相続手続きとあわせてご相談頂くことが度々あります。会社の経営に携わっていないご家族でもわかるように、社長の相続についてわかりやすく説明しました。

 

「社長」の立場ではなく「株式」を相続する

社長というと「2代目が継ぐ」世襲のイメージがあるので、社長という立場を相続するものかと思われますが、社長に相続が発生した場合、相続人が相続するのは「株式」です。会社の備品やお金はすべて会社のものであるので、社長の相続財産ではありません。

社長は会社を経営する取締役の中で、一番偉い人です。法律では代表取締役といいます。(以下、社長のことは「代表取締役」と呼びます。代表取締役は株主総会などで選ばれます。代表取締役が亡くなると「死亡による退任」をすることになり、次の代表取締役を株主総会などで選びなおす必要があります。

株主総会による議決は多数決なので、株を多くもっていれば好きな人を代表取締役に選べます。株主が自分や親族のみであれば、誰にも反対されることなく自分を代表取締役に選べるわけです。小さな会社においては、代表取締役や親族がほとんどの株式を持っていることが多く、亡くなった代表取締役の方の株式を相続人は相続するわけです。

ケース別 社長が亡くなったらどのような手続きをすればよいのか

1.相続人が会社を継いで社長になりたい場合

亡くなった代表取締役の子など、相続人が会社を継ぎたいという意向の場合は、会社を継ぎたい相続人が亡くなった人が持っていた株式を相続して、株主総会等で自分が代表取締役に選ばれるようにします。このとき、兄弟等で株式を持ち合ってしまうと、代表取締役を決めるのに必要な株数を満たしていないことがあるので要注意です。会社の定款(会社のルールを定めたもの)にもよりますが、原則は株式の半数が必要です。

銀行の預貯金や不動産と同様に、会社の株式も相続財産として遺産分割協議の対象となります。遺産分割協議が成立しないと、亡くなった人の残した株式の持ち主が確定しないため、原則、株主総会を開くことができず新しい代表取締役を決めることができません。なお遺産分割協議にあたり株式が「いくら」の価値があるかは専門的な計算が必要となります。経理担当の方がわからない場合は、税理士や会計士等の専門家に相談しましょう。

2.相続人が経営にかかわりたくない場合

会社は他の取締役等により経営を続けていくが、相続人は会社経営に興味がないので株式を手放したいという場合は、株式を会社に買い取ってもらう、もしくは他の株主や第三者に譲渡することになります。これには会社のルールや方針を確認する必要があるため、まずは他の取締役等に相談しましょう。

3.一代限りで会社をたたみたい場合

一代限りで会社は終わりにしたいというときは会社をたたむ「会社の解散と清算」を行うことになります。一人株主が社長という会社は、このケースの検討が多いでしょう。株主兼社長が亡くなっても、法人税の納付義務と決算申告義務が自動的に消えることはないからです。

会社の解散と清算には、会社の設立と同様に法務局への登記申請を行います。また、会社名義の借金、取引先への支払い、固定資産等がある場合はお金の清算が必要です。このケースを検討する場合は、まずは顧問税理士や司法書士等の専門家に相談しましょう。

会社に借金がある場合はどうすればよい

本来、会社と個人は別人格であるため「会社の借金=個人の借金」ではありません。

しかしながら日本においては、代表取締役が個人として、会社の借金を「連帯保証」しているケースがほとんどです。連帯保証契約というのは、「借主(債務者)が払えない場合にかわりに私が払います」という契約です。そして厄介なのは、この連帯保証もマイナスの相続財産として相続の対象となることです。つまり亡くなった方が会社の借金の連帯保証人であった場合、相続放棄をしない限りは、会社が借金を払えない場合は相続人がかわりに借金を支払う義務あるということなのです。

また、代表取締役の自宅等の不動産が、会社の借金の担保に入っているというケースも少なくありません。気になる場合は、所有している不動産の登記簿を確認するようにしましょう。

会社で借金の支払いを続けていく場合

亡くなった方が会社の連帯保証人になっていたが、会社は続けていく予定で借金も返していくという場合は、新しく社長になる人が連帯保証人の立場をつぐことになります。担保についての相談に応じてくれることもありますので、まずは融資元の金融機関等にご連絡・ご相談ください。

会社の借金が支払えない場合

会社に支払い能力がなく、連帯保証人として借金を支払うことができない、という場合は裁判所を通じた相続放棄を検討することになります。裁判所により相続放棄が認められれば、連帯保証人の立場は相続されないので借金は一切支払う必要はありません。しかしながら相続放棄をすると、亡くなった方の自宅や預貯金等プラスの財産も相続することができません。

相続放棄は相続発生を知ったときから3ヶ月以内に行う必要があります。もし先に自宅や預貯金の名義変更等、財産の処分行為にあたる行動をとってしまうと、相続をみとめたことになり相続放棄ができないこともあるため慎重な行動が求められます。借金の相続放棄については下記の記事もご参考ください。

個人事業主である場合は「事業」ではなく「モノ」を相続する

亡くなった方が個人事業主だったという場合は、個人が所有していた不動産、預貯金、設備等すべてが相続対象となります。ただ、注意しなくてはいけないのは、個人の「事業」に相続という概念はないため、亡くなった方が営んでいた事業を相続人が継ぎたいという場合は、継ぐ相続人が税務署に新たに「開業届」を出す必要があります。

長谷川
社長が亡くなった場合、何を確認して誰に相談すればよいのか、ということを経営について詳しくない方でもわかるようにご説明させて頂きました。

小さな会社の社長さまはご自身で会社経営のすべてを担っていることが多く、突然お亡くなりになられた場合は、残されたご家族の方は会社のことは本当に何もわからず途方にくれてしまうことでしょう。もし、頼れる専門家が身近におらず誰に相談してよいかわからずお困りの場合は、どんな小さなことでもかまいませんので当事務所までお気軽にお問合せ下さい。

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