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相続

凍結した預金の解除!銀行の相続手続きが大変な4つの理由

投稿日:2017年10月6日 更新日:

銀行の預金は、口座名義人が亡くなると凍結されます。口座名義人が死亡した瞬間から、口座のお金は「相続財産」になるからです。一部の相続人により相続財産が使われてしまい、相続人間のトラブルになることを防ぐために凍結をするのです。

役所に死亡届を出したら自動的に銀行に連絡がいくという仕組みはないので、相続人や親族が銀行へ亡くなった旨を連絡することにより預金口座は凍結されます。2019年7月より「預金の仮払い制度」といって、お葬式代や生活費のために預金の一部を遺産分割協議前に払い出すことができる制度ができましたが、銀行から相続手続きの際に出す戸籍を求められるため使い勝手がよい制度とはいえないようです。

この銀行の相続手続きは、みなさまの頭を悩ませることが多いようでよく相談を頂きます。銀行の相続手続きがなぜ大変なのか?4つの理由をご紹介します。

 1.戸籍集めがとにかく面倒でわかりにくい

銀行の相続手続きで、相続人の方を最も悩ませるのが戸籍集めではないでしょうか。ほとんどの銀行が、相続関係を証明するために「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍」と「相続人全員の戸籍」の提出を求めてきます

。相続人となるはずの人がすでに亡くなっている場合は、その方の「出生から死亡までの戸籍」も必要となります。これらの戸籍はなぜ必要かというと、提出される相続手続き書類に本当に相続人全員が押印しているのか確認するためです。

戸籍は、本籍地がある自治体(市区町村)のみ請求することができます。戸籍は窓口に行かず、郵送で請求することも可能ですが、郵送の場合は証明書の手数料をクレジットカードや銀行振込で支払うことはできず、郵便小為替や現金書留での支払いを求められます。

亡くなったのは父で相続人は妻と未婚の子一人、父は生まれも育ちもこの地という場合ですと戸籍も少なくご自身で行ってもスムーズに集めることが可能でしょう。しかしながら、「高齢で子がいない離婚歴のあるおばが亡くなった」という場合はなかなか大変です。法改正、転籍、婚姻、離婚、養子縁組、戸主の死亡等により戸籍の数は増えます。昔は、引越しごとに本籍地を変更することも多く、寿命が短かったことから戸主の死亡も頻繁に発生するため、ご高齢の方が亡くなられた場合、自治体(市区町村)をまたぎ5通以上存在することはよくあることです。昔の戸籍は、人の手で記載されているため読みにくいものも多くあります。そのため大事な情報を見落としてしまったり、読み解けず戸籍が遡れないこともあります。

戸籍と転籍

相続人のうち亡くなっている人がいる場合はその方の「出生から死亡までの戸籍」も必要となるため、相続人が多い場合は2倍3倍と戸籍集めが大変となっていくのです。

2.手続き書類には必ず相続人全員の実印と印鑑証明書が必要

銀行には「相続届」というような名称の相続手続き書類が用意されており、この相続届には必ず相続人全員の実印を押印が求められます。もしくは相続人全員の実印が押印されている遺産分割協議書が必要です。

「遠方に住んでいるから」「入院しているから」「連絡先を知らないから」といった理由で押印が免除されることはありません。

相続人のうち認知症等で判断能力が低下されている方がいる場合は成年後見制度を利用して成年後見人等が押印しなくてはいけません。失踪してしまい、行方がわからない相続人がいる場合は、不在者財産管理人制度を利用することになります。(※手続きをする預金額が少なくやむを得ない事情の場合、銀行によっては柔軟に対応してくれるところもあるようです)

銀行の相続届と印鑑証明書の期限

また、実印を押印した証明のため、印鑑証明書もあわせて提出します。この印鑑証明書には、発行から3ヶ月や6か月というような期限が設けられているため、印鑑証明書を早く用意しすぎた、揃っていたにもかかわらず相続手続き書類を出していなかった、などということがあると、印鑑証明書をもう一度取り直さなくてはいけません。

3.各銀行で書式が異なるのでミスや漏れが生じやすい

この相続手続き書類は、銀行によって書式が異なります。銀行により表現の仕方や書き方のルールが異なるため、複数の銀行や金融機関の手続きがある場合、ミスや漏れなく全ての書類を整えるというのはかなり神経をすり減らす作業です。些細な記載ミスでも、銀行や担当者によっては、相続人全員の訂正印を求められることもあります。

銀行の相続手続きと書式

なお、遺産分割協議書を提出して、銀行の相続届には相続人代表者等のみ相続手続き書類に署名押印するという方法もありますが、遺産分割協議書の記載方法に気を払わないと「この遺産分割協議書では手続きできない」といわれてしまうこともあるので注意が必要です。

4.自筆証書遺言が残されている場合は手続きに手間と時間がかかる

自筆証書遺言が残されている場合、遺言書を銀行や法務局で相続手続きに使うには、裁判所による検認手続きが必要です。検認手続きは、裁判所の混雑具合にもよりますが、裁判所に必要書類を提出してから検認日までおおよそ1ヶ月~2ヶ月ほどかかります。この間、相続手続きは保留状態となります。

自筆証書遺言と検認手続き

また、自筆証書遺言には遺言執行者の問題もあります。遺言執行者とは遺言を実行する人のことです。この遺言執行者は、公証役場が作成する公正証書遺言であれば指定があるのですが、ご自身で残された自筆証書遺言では、遺言執行者が指定されてないことも多いのです。遺言執行者が指定されていない場合、相続届等の書類に相続人全員の実印と印鑑証明書が必要となることもあります。

一方、遺言執行者が指定されている場合、書類には遺言執行者のみが押印すれば相続手続きをすすめられます。提出する戸籍も「亡くなった方の死亡を確認できる戸籍」のみでよいことが多いです。

遺言執行者が指定されてないので遺言執行者を選任したいという場合、相続人同士で勝手に遺言執行者を決めることはできず、裁判所に遺言執行者選任の申立をしなくてはなりません。自筆証書遺言の検認手続きをしてから遺言執行者選任の申立となると、裁判所の手続きだけで3ヶ月以上かかることもあります。

預貯金や株式の手続きについても司法書士にお気軽にご相談ください

このように、銀行の手続きには面倒な点が多くあります。窓口や電話で待たされたりすることも多く、相続手続きの中でも何かとストレスが多い手続きではないでしょうか。当事務所では、銀行の相続手続きをおまかせいただける相続手続きおまかせプランをご用意しております。ぜひお気軽にご相談・お問い合わせください。

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司法書士<東京第5785号 認定第1101063号> 明治大学文学部卒業。相続や登記を専門とする渋谷区笹塚シルク司法書士事務所代表。ていねいできめ細やかな対応がお客様から支持を受けている。整理収納アドバイザー1級、家庭では2児の母。詳しいプロフィールはこちら

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