相続

相続登記を放置するとどうなるのか?

投稿日:2017年10月3日 更新日:

相続登記には期限がありません。現在、国により相続登記の義務化が検討されていますが、義務化されていない現在は、いつまでに登記をしないと罰金や延滞金が発生するものではないのです。故人名義のままでも固定資産税も相続人等により支払われていれば役所から何かいわれることもありませんし、名義変更をしなくとも家に住み続けることはできます。

「売りたい、貸したい、担保に入れたい」というような需要がなければ、日常生活を送る上で不便もないので、名義変更することなく放置しているということも多いのです。ところが、こうして相続登記を放置してしまうと後に苦労することがあります。相続登記を放置するとどのような困ったことが起きるのでしょうか?

 

1.相続人の気がかわってしまう

経済状況や家庭の事情の変化、不動産の価格の上昇や下落などにより、相続人の気持ちは変わるものです。

相続発生当時は、長男も次男も「母の相続財産は同居で介護をしてくれた長女に自宅を」という話でまとまっていたのに、いざ何かの事情で数年後相続登記をしようとしたところ、「やはり相続分がほしい」と長男・次男が主張してきた、というようなことがありえます。特に配偶者がいる場合は、その意見に左右されることもあります。

相続登記をすませていないだけで、遺産分割協議書を作成して署名押印済であればよいのですが、口約束だけの場合は残念ながら効力はありません。再度話し合いの上、全員が納得するように遺産分割を整えるしかありません。

2.相続人が増えてしまう

相続登記をしないで放置していると、相続人の相続人、相続人の相続人の相続人とがねずみ算式に相続関係者が増えていきます。50年以上放置したことにより、相続人が50人を超えてたというようなケースもあります。人数が多くなると、遺産分割協議書でまとめることは難しく、場合によっては裁判を利用しての登記も検討することになります。

我が家は兄弟も少ないしそこまで…、と思われる方も注意が必要です。相続人の数が増えることだけが問題ではありません。相続人に配偶者がある場合、相続人が亡くなると配偶者がその相続権を継ぐため、本来の関係者以外の人が相続人となる可能性があり、スムーズに協議が整わないということがあります。

3.相続人が認知症になってしまう

認知症により判断能力が低下すると、遺産分割協議のような難しい法律行為をするには成年後見制度の利用が必要となります。成年後見制度は、申立手続きに2~3ヶ月を要するのと、一度申し立てをすると、お持ちの財産の多少にかかわらず、原則終身までの利用が必要となります。これは高齢化社会となるにつれ益々増えていくケースです。詳しくはこちらもご参考下さい。

認知症の相続人がいる相続手続き

4.相続人が外国人になってしまう

グローバル化にともない年々増加している国際結婚。結婚を機に、国籍をかえる方もいらっしゃいます。また、先の通り配偶者のある相続人が亡くなると、その配偶者が相続権をひきつぐため、今の時代「相続人が外国人」となる可能性は十分ありえるのです。

相続人が外国人の場合、日本と異なりほどんどの国では戸籍や印鑑証明書がないため手続きが複雑化します。

場合によっては、書面に翻訳をつけたり、相続人とのやりとりに通訳をつける必要もあるかもしれません。専門的な内容となるので、自分たちで名義変更することは、まずあきらめざるを得ないでしょう。また司法書士に依頼するとしても、通常の名義変更よりも高い報酬を払うことになります。

5.相続人が行方不明になってしまう

相続人が行方不明というのは、相続人がいわゆる「失踪」した状態です。相続人が行方不明という理由で、遺産分割協議書から外すとことはできません。

相続人が行方不明でも遺産分割協議を整えたいという場合、「不在者財産管理人」という制度を利用する必要があり、家庭裁判所への申立てが必要となります。不在者財産管理人制度は、行方不明者がでてくるか、失踪宣告(行方不明者を死亡したとものとみなす)手続きをするまでは、弁護士などの専門職による財産管理の必要があり、大変手間とお金ががかかるものとなります。

6.証明書類が廃棄されてしまう

相続による名義変更に必要な書類として、「亡くなった人の最後の住所地を証明する書類」「登記上の住所と最後の住所地を証明する書類」があります。これらにあたる住民票の除票や戸籍の附票という書類は、役所で「除かれた日から5年」程度の保管期限が定められており、相続手続きを放置することにより、これらの書類がとれなくなってしまうと、法務局の指定する別のかわりの書類を用意しなくてはなりません。

相続登記ができないと困ること

ご紹介した6つのケースのように、相続登記を放置することにより相続手続きは複雑化します。相続人の年齢的に、次の相続が発生するのはまだ先と思っていても、交通事故などの不慮の事故や突然の病気により相続人が亡くなってしまうこともあります。

所有者不明の土地が増えると、自治体は固定資産税が回収できずに困るわけですが、相続人にとって相続登記を放置することによって困ることがあるのでしょうか?

それは、将来不動産を処分、つまり「売りたい、貸したい、譲りたい、担保に入れたい」というときに困るのです。亡くなった人名義では、これらの契約書をかわすことはできないからです。

相続登記に期限がないためか、政府の有識者研究会の2017年報告によると、日本には所有者不明の土地が九州全土を上回る410万ヘクターあるそうです。全国の土地の2割が所有者不明ということになります。これ以上、所有者不明の土地を増やさないためにも、法務局のみならず自治体等の役場でも、相続発生のため戸籍をとりにきた相続人に「相続登記はお早めに」声がけをすることが増えています。

「相続登記をすませてしまいたい」「長年名義変更していない不動産がある」など、相続による名義変更で気になることや、お困りのことがありましたら、当事務所までお気軽にご相談下さい。

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シルク司法書士事務所 代表司法書士 <東京司法書士会第5785号 簡裁訴訟代理等関係業務認定会員認定第1101063号> 明治大学卒業後、一般企業を経て2010年司法書士合格。不動産登記専門の事務所・相続専門の事務所で経験を積み、渋谷区笹塚にて個人からの相続・登記業務のご依頼を主とするシルク司法書士事務所を開業。丁寧できめ細やかな対応がお客様の支持を受けている 詳しい自己紹介はこちら

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