「司法書士って繁忙期はあるんですか?」
相続業務中心の司法書士事務所には、これといった繁忙期はありませんが、不動産決済中心の司法書士事務所には明確に繁忙期あります。12月末と3月末です。これは主に不動産会社や金融機関の決算期の関係で、不動産の決済日が集中するからです。(司法書士の不動産決済業務についてはこちらをご参考ください)
不動産決済の立会というのは、司法書士の資格を持ち、登録している司法書士ではないとできないルールになっております。
このルールによって起こる悩ましい問題が「決済集中日に司法書士の頭数が足りない!」ということ。
基本的に依頼をくれる不動産会社や金融機関が川上のため、司法書士は人手が足りないからといって簡単に断ることはできません。
せめていくつかの案件は時間だけはとお願いして、1人の司法書士につき1日MAX3件くらいまで立会を入れます。
それでもスケジュール的に無理が出た場合は、断るのではなく「ほかの司法書士に立会を依頼する」という方法をとります。
通称「決済ヘルプ」。事前準備や事後処理はこちらでやるので、立会だけお願い!というもの。ちょっといいお寿司屋さんの会計金額くらいの額の報酬はもらえるので、開業間もない司法書士などにはありがたい仕事だったりします。
しかしながら、司法書士の立会というのは大変重責で重要な仕事。この神聖な職務を助っ人にお願いするなんてけしからん!という業界内の意見もあったりします。
けしからんな意見もわかるのですがこれなかなか難しい問題でして、「ヘルプ決済厳禁」というような厳しいルールをひくと、集中日の頭数にあわせて司法書士を雇用できる財力のある事務所だけが不動産決済マーケットを奪取できることに。
ちなみに、その昔、昭和の時代は「補助者決済」といって、資格のない事務所員が立ち会うこともオッケーだったので、数をこなせたようです。
不動産取引の遠隔オンライン化に期待するか、司法書士がポジションアップしてスケジュールを誘導できる立場となるか・・・
ふと「報酬安くしてもよいと思うほど、お願いだから決算期を12月にしないでほしい」という先日の税理士さんの嘆きを思い出し。一般企業の決算期は12月と3月が多いのですが、つまりはその前後、税理士さんの繁忙期。繁忙期はもう手いっぱいだけど、閑散期であればまだ顧問が受けられるというわけです。
そのうち決済日によって報酬が異なる司法書士が出てくるかもしれません!?
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